(友)『ワイルド・バンチ』

自由で、猥雑で、豊饒で、しかも出鱈目な故に愛しいメキシコへの愛を
サム・ペキンパーは、数々のフィルムの中に焼き付けた。
『ワイルド・バンチ』はそうした「熱き想い」の結晶であり、鎮魂歌である。

最初に、彼等と出会ったのは、随分と昔の話だ………。
僕は、ただ彼等の事を「面白い奴等」だとしか捉えて居なかった。
何と言う愚かしい行為だったのだろうか。今考えるとつい笑ってしまう。

だが、今、暗闇の中に輝いている銀幕の中で、再び彼等と出会った。
彼等は、僕と違って全然歳をとらない。相変わらずの姿だ。
語っていることすら変わりはしない。

ただ、自分の中での受け止め方が違う。僕は8年前、テキサス州から
リオグランデ川の流れを眺め、メキシコ国境の町から同じ流れを見た。
温いコロナ・ビールにライムを入れて飲み、『KOOL』と言う彼等が
愛飲している煙草を吸った。

去年は草月ホールにて「メキシコ映画祭」にも参加し、数多くのフィルム
を観た。そして、何よりも大切なことは、数多くの修羅場を潜り「闇」
を感じ「光」の素晴らしさを知ったことかも知れない。
そして、不器用であるが、人を愛することも知った…………。

再び彼等と出会った時、彼等の素晴らしさを全然と言って分かっていな
かったことに気付き、恥ずかしくなって僕は泣いた。
彼等は、画面の中で笑っていたが、「良いよ。気にするな」と励ましてく
れる気がして嬉しくなった。

僕が言えることは、ただ一つ。この素晴らしき男達と出会って欲しい。
それだけだ。

大倉 里司(HCD05016@nifty-serve.or.jp)

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