(生)『男たちの大和』

2005年4月6日、一人の女性・内田真貴子(鈴木京香御嬢
様)が鹿児島県枕崎の漁港を訪れ、老漁師の神尾(仲代達矢さ
ま)に北緯30度43分、東経128度4分まで船を出してほ
しいと懇願してきた。その位置は、60年前の昭和20年4月
7日に戦艦大和が沈んだ場所である。そして彼女は、自分が
内田二兵曹(中村獅童さま)の娘であると神尾に告げた。
「内田」の名に驚いた神尾は、直ぐに若い漁師・敦(池松壮
亮くん)を伴い、真貴子を乗せた小型漁船・明日香丸を東シナ
海に向けて走らせていく。まっすぐに前方の海を見据える
神尾の胸には切々と、60年前の光景が甦ってくるのであり
ました……。

敗戦記念60周年を記念して数々の戦争映画が日本で公開され
てきましたが、どれもこれも観る気が湧かなくって全部スルー
ただ、この作品だけは「戦艦大和の沈没」と言う「史実」がある
ので俄然観たくなった次第です。

海難事故史には「戦争中のものを含まない」と言う一項があって
そりゃぁ……戦争中の沈没を挙げていけば、インディアナポリ
ス号とか……挙げていけばキリが無いのが事実。

何故、海難事故史を挙げたかと言えば、この映画『タイタニッ
ク』と『プライベート・ライアン』を足して二で割ったかの様
な映画なんですねぇ……(^^;

映画の導入部で仰々しく資料映像が流れ、重々しいナレーショ
ンにテロップが入った時点で「ダメだぁ……こりゃ(--;)」と
思った次第なんです。ですが、神尾が19歳の少年兵(松山ケ
ンイチさま)として乗り込む所から回想スタート♪
それから観始めると俳優陣の好演もあって、中々良い塩梅に進
んでいくんですよねぇ。ただ……疑問として残るのは、炊事班
長として乗り組んでいる森脇二主曹(反町隆史さま)とか……
機銃射手の内田二兵曹(中村獅童さま)が、皆様部下思いの下士
官でして、「いい人」のみの扱いになって仕舞った感があった
のは事実。

実際問題、大変に素晴らしい好青年だったとしても、「清濁
併せ呑む」形にキャラクターを掘り下げて描く事が出来なかっ
たかなぁ……それがつくづく残念。


実は……それらの不満が全てクリアーされる1シーンがあって
自分的には満足しています。








(ラストの「キモ」の部分にいきなり触れています)
















この映画の秀逸なところは、「戦争下」にあるのではありませ
ん。「戦争後」のシーンに全て集約されているのです!(断言)

戦艦大和が沈没し……内田二兵曹から託された「短刀」を肌身
離さず持ち歩いていた神尾。神尾には西(内野謙太さま)と言う
戦友が居り、彼は母の為に仕送りを欠かした事が無かったので
す。西は死んで自分一人が生き残って仕舞った……。
神尾は西の母を尋ねて、彼の死を伝えるところで、母(余貴美
子さま)が言った一言が凄い!

「何であんただけのうのうと生きて帰ってきたの!」

この一言で、涙腺爆発!神尾だって「名誉の戦死」を出来れば
したかった。でも……生き残った自分にはどうすることも出来
ない……。西の唯一の遺族である母にしても、これしか言葉に
表すことしか出来なかった哀しみ。
そして、神尾自身も幼馴染であった妙子(蒼井優御嬢様)、そし
て母スエ(白石加代子さま)も死んで仕舞った以上、自分が生き
残っている意味はあるんだろうか?そんな事が常に心の何処か
に潜んでいたんだと思います。

その「生かされている意味」を初めて知った神尾……ホーッと
深い溜息をついた一瞬でありました。

これに関しては、原作の方も読んで自分の中で再構成する必要
があるなぁ……この映画は自分にとって「はじまり」であって
決してこれで終着した訳ではありません。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2005年12月18日ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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