(誠)『イエス・ボス』

スクリューボール・コメディとでも言えば良いのでしょうか?この作品、英語
の吹き替えをすれば、その侭ハリウッド・メジャー作品として売れるだけの要
素がギッシリと詰まっております。

広告会社に勤めるラーフル(シャー・ルーク・カーン様)は、女たらしのボス
の下で働くイエスマン。ですが、彼には一つの夢がありまして、それは何時の
日にか自分のオフィスを構えることを目標に、汚い仕事も行っている。或る日、
出会ったモデルのシーマ(ジュヒー・チャウラー御嬢様)と知り合い、しめし
めと心浮き立つ日々。ですが、広告会社とモデルは付き物。ファッション・シ
ョーに出ていたシーマにボスも一目惚れ………何時もとは違って、今回は少し
本気が入っている模様。ラーフルは、仕方無いと思いつつボスに彼女を紹介し、
彼女の方もボスの方に惚れてしまった気配………が、奢れる者は久しからずで、
ボスの奥方に浮気がバレそうになる。ボスとは言え、所詮は雇われ社長。超実
力者である会長の娘の命令には背けない………そこで、ボスは急遽、ラーフル
とシーマを俄か仕立ての夫婦を演じさせるが……

主演の二人と、監督のアズィーズ・ミルザー様は、トリオを組むのが『ラジュー
出世する』に次いで二本目、余程波長が合うんですね。(^^)

全部のキャラクターが過不足無く描かれ、一見悪役側の人間でも、そうせざる
を得ない部分とか、「一度は惚れてみたんです」的な良い部分を持たせており
ます。

ぼくは、これを観て………やはり、シャー・ルーク・カーン様は、ヒンディ語
圏映画のキングと呼ばれるだけのことは有るなぁ………と感心したのですね。
つまり、二枚目と言うよりは、二枚目半………性格も一本調子では無く、物語
の進行によってキャラクターの違った面が出てくる、昔のトム・ハンクスが演
じたようなキャラクターを好んで演じております。

そして、何よりも大切なことは、脇に居る人間にも一度は華を持たせるんですね。
「俺が俺が………」的な部分は映画を観ている限りでは、感じないのですし、そ
うした相手が光る場面では、明らかに彼は退いた芝居をしているんですよ。

相手を立てることによって、自分が尊重されると言う当たり前の事ですが中々
出来ないことをやっている彼は、やはりスターなんですね。

本当に良く出来た映画なので、一日も早い公開を望みます。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(11月3日第15回東京ファンタスティック映画祭)

BGM:A・R・ラフマーン『ボンベイ』より『メインテーマ』

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