(雅)『トスカニーニ〜愛と情熱の日々〜』

みなさま、御機嫌如何でせうか?わたくし、マダム・DEEPで御座ひます。
アルトゥーロ・トスカニーニさまと言へば、二十世紀の中でも最も偉大なる
指揮者の一人でいらつしやひますが、一八九六年にブラジルのリオ・デ・ジャ
ネイロにて急遽代役指揮者としてヴェルディ作『アイーダ』を振つた事が、
一チエリストから、指揮者としてのデビユウを飾つたとやう史実を基に、オペ
ラ演出家としても高名なフランコ・ゼッフィレッリさまが演出為さつた傑作で
ございます。(きつぱり)

物語のほうは、ミラノ・スカラ座の試験を受けますが……余りにも聴く耳を持た
なひ審査員の方ばかりだつたので、トスカニーニさまは、お帰りに為られるので
せう……ところが、才能を見つけたと喜んだのは、南米に向けて興行の準備を組
んでいらつしやつたロッシさま。早速契約を結び……南米の地へ豪華客船で向か
ひます。そこでクリスチャンの社会活動家マルガリータ御嬢様と出会ひ、しばし
の逢瀬を楽しみますの、そして伝説の歌姫ナディアさま(エリザベス・ティラー
姐さん)のリハーサル出演を頼む為に、ナディアさまの自宅迄行くのでせうが……
ばつたりとブラジル皇帝(フィリップ・ノアレさま(うつとり))と出会ふ……

一九八八年に日本でも公開された折り、有楽町の丸の内ピカデリイ2にて鑑賞
したのでせうが、わたくし……それまでは、C・トーマス・ハウエルさまが大
嫌ひで御座ひましたの。ですが……これを観て一変致しましたの。ハウエルさ
まの演技は「鬼気迫る」が相応しひ化け方(うつとり)
とりわけ……指揮台に上がつてからの眼光に打たれましたのよ。背筋が思わず
硬直する位の衝撃が御座ひましたわ。

今回観直してみて、やはり傑作としか言ひやうの無ひ輝きに満ちておりますの。
何と申しましても、豪華客船の内装のセツトの素晴らしさに眼を見張り、ゼッツ
フィレリさまが御声を掛けたのでせう……実際の歌ひ手の方々が歌つておられる
だけに、はつきりとほんとうに歌つてゐるのが判るのでせう(かんるひ)

そして、当時の貧富の差が激しひ船内での描写を含め、目配りが行き届ひており
音楽やら芸術を絡めると途端に傑作を生み出すゼッフレィリさまの力量に感嘆す
るばかりでせうの。かうしたテエマで無ければ、『エンドレス・ラブ』なり、
『チャンプ』と言つた甘つたるひ作品になるのでせうが、この差は如何に(なぞ)
そして、圧巻なのは南米ロケも在つてか、現存する豪邸の数々……。
インディオ虐殺の上に成り立つた繁栄でせうが……これは、はつきりと本物の御
屋敷を使つて、それでロケしたと判りますもの。と……申しますのは装飾品の数
々が紛れもなく19世紀初頭〜末に掛けての美術でせうし、壁面の絵画などを含
めるとこれだけのものを揃へたら巨額の富が必要となるのは明白。

そこに御住まひのナディアさま。エリザベス・ティラー姐さんは、「大女優」の
風格十分に演じきり、やはり歌姫はかうで無くては(うつとり)とやう、わたく
し共の儚ひ夢を叶へて下さひますの……。

何と申しましても圧巻なのは、歌劇『アイーダ』のテエマと「奴隷解放」のテエ
マが一つとなり、舞台が一際華やぎ官能すら帯びた香りに包まれる……その至福
たるやテレビの小さな画面からでも、十分に伝わつて参ります。

八十八年の作品で御座ひますので、ビデオ店でも在庫が無い所が多ひかも知れま
せんが、在つた折りには是非御借り出し願ふものでせう。
素晴らしひ……極上の映画ですわよ……(につこり)

「裏社交界の徒花」 マダム・DEEP
(2001年5月9日 ビデオにて鑑賞)

BGM:ジュゼッペ・ヴェルディ作 歌劇『アイーダ』より『淨きアイーダ』

 

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