(秀)『美少年の恋』

自分がそうで有る為に、古今東西、結構ゲイ物は観ているつもりですが、その
中でもかなりの秀作の部類に入ります。

ロン毛の売れっ子ホストのジェット(スティーヴン・フォン様)は、ある日街
の画廊で見かけた美青年サム(ダニエル・ウー様)に一目惚れ。側に御嬢様が
居たが………彼女もまた微笑み返してきたことで、ジェットのサムに対する淡
い想いはつのるばかり………。
一方、ジェットと同居するホスト仲間のアチンは、堅気の会社員時代に知り合
った美青年ファイとの失ってしまった幸せだった日々を思い巡らせていた………。
そして、売れっ子スターKSも、昔ファイと付き合っていた時があったのだが…。

幾つもの人間模様を、サムと言う警官(しっかし、警官姿が美しいです)を中心
として繰り広げられる愛憎絵巻。構成が実に巧みでして、混乱させることなく収
束させてゆくヨン・ファン監督の手腕は相当なものです。この監督がゲイである
かどうかは、定かでは無いのですが、この際、それはどうでも良いことでして、
映画として観れるかどうか?が重要なんですね。間違いなく水準を楽々とクリア
ーし、日本での公開が決定していないのが不思議な位。香港の大女優であるブリ
ジット・リン姐さんが、ノーギャラでモノローグを担当しているだけで話題性が
あるのに………と思うんですね。

この映画の見所は、香港ゲイ事情を実に丹念に描き出しているところにありまし
て、それが映画を壊すことなく取り入れられていることなんです。中でも驚いた
のが、売り専バーの詳細なる再現には、舌を巻きました。(^^ゞ

確かにこうした感じ、それに電話の応答が………まさにその通り(笑)
そこそこの売れっ子ホストのアチンが、ホテルで美形でしかもマッチョな体育教
師と寝るところなどは、幅広くゲイの観客の需要を満たしております。(^^)
中々………このアチンと言うキャラクターが良いんですね。密かに愛して打ち明
け、夢のような一夜を過ごした後………相手のファイから金の無心をされて、そ
の為にホストになってしまう。でも、その素晴らしい思い出の象徴として陶器で
出来た扇子を大事に持っているところなんかはいじらしくて泣けてくるんですよ。

ただ、唯一の不満は、○○○○が自ら死を選ぶのに、理由は解るのですが、ちょ
っとなぁ………と言う感じがしたのも事実。それでも尚、「愛の永遠」を謳いあ
げるのはどうも取って付けた感がしたので、手放しには誉められないと言うのが
正直な感想です。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(11月4日第15回東京ファンタスティック映画祭にて鑑賞)

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