(枠)『キンキー・ブーツ』

親子4代に渡って靴工場を営むチャーリー・ブライス(ジョエ
ル・エルガートンさま)は、突然の父親の死で靴工場を相続す
る羽目に。しかし……その直後、工場が実は倒産寸前だと判明!
どうにか工場を救いたい彼のもとに舞い降りた天使は……ドラア
グ・クイーンのローラ(キウェテル・イジョフォーさま)だった。
小さな女性用のハイヒールを無理矢理履いている様を見たチャー
リーは、伝統的な紳士靴の製造からドラアグ・クイーン用セクシ
ーブーツ製造へと工場の方向転換を図る。はたして保守的な職人
たちは、2人の大胆な改革についていけるのか?!

まず出だしが良い。人気の無い桟橋を靴を履き替えて踊る少女。
楽しげに踊っていた少女でしたが、父親に呼び戻されて……実
は……と判るシーンが秀逸。この頃から既にローラの中では、
芽生えていたんですけれども、圧制的な父親によって封じ込めら
れたって事が後々活きてくるんですけれど。やっぱり「枠」って
ものに囚われて生きているじゃないですかぁ。「男は男らしく、
女は女らしく」……でも、突き詰めてみれば、「男らしい」って
一体何なんでしょう?確かにマッチョで巨○でタチとなれば、自
分にとっては嬉しいんですけれども、本当に良い男って言うのは
どこか女性的な部分も兼ね備えていて上手いことバランスが取れ
ている人なんですね。

その「マッチョ」の典型が主人公二人のそれぞれの父親であり、
工場に勤めるドン(ニック・フロストさま)だったりするんです。
このドンと言うキャラクターが典型と言えば典型なんですけれど、
盛装してきたローラを見て欲情し、実は男だと判ると極度な迄
の嫌悪感を示す。典型的なホモ・フォビアなんですけど、その彼
がある事を切っ掛けにして理解を深めていくと言う展開が典型で
はあるんですが、実に真っ当で(・∀・)イイ!!

ちょっとタネ明かしをしてしまうと、このドンと言う男なんです
が、腕力だけは自信があって地元のパブでのアーム・レスリング
大会では5年連続のチャンピオンなんですね。その彼にアーム・
レスリングの勝負を挑むのが「盛装」したローラ。
実は、彼女……父親からボクシングを叩き込まれて、ベンチプレ
スでは93キロを挙げていたと言う経歴。で……3種類共に使う
筋肉は上腕三頭筋(つまりは二の腕)が発達していないと駄目。
その意味でも単純そうに見える脚本ですが、実は結構丹念にリサ
ーチしている事が伺えます。
脱線してしまいましたが、本当は勝てる試合だったのにローラは、
ドンに勝ちを譲るんですね。勝とうと思えば勝てる試合……でも、
勝ってしまえば、ドンにとっての唯一のアイデンティティが崩壊
してしまう……それを悟った瞬間、ローラが一歩退くんです。
で……ドンも、ローラのその心遣いが判ったんでしょうねぇ……
この辺りから「泣きのツボ」直撃状態でして、当日コンタクトを
していたのですが、泣き続けていたんで目薬不要!酸素満タン
状態を突っ走り!クライマックスであるミラノの見本市でのショー
も実に華がある!\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/

構図的には良く似ているのが、あの大傑作『カレンダー・ガール
ズ』でありますが、幾つかの欠点はあるものの、それを補って余
りある「熱さ」がこの映画にはある気が致します。堪能致しまし
た!

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2006年9月1日 日比谷シャンテにて鑑賞)

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