(合)『シュリ』

同じ映画を二度観てしまうと、初回には気が付かなかった欠点とか、逆に長所
が発見できるのが大きな効用でして……『シュリ』も正にそうした一本。

と………言うことで、未見の方用に一度目の感想を挙げておきます。



+++++++++内容全開38度線モード+++++++++++++






この映画の上手いところは、若い人が観ても、老人が観ても男が観ても、女が
観てもそれぞれに「ツボ」を押さえる様に出来ているんですね。今回感じたの
は意外に「恋愛物」としての側面が強いなぁ……と言うことでした。ジュンウ
ォンと婚約者のミョンヒンの描写が過不足無く描き込まれていて、アクション
物を期待してしまうと(?)って感じが付き纏うかも知れないと思ったのです。
諜報員たるもの………と言う問題があって、そこに引っかかる男性の方は多い
だろうなぁ………と感じた次第。
でも、これはこうするしか無かったのだと思いますよ。ジュンウォンが、イ・
バンビの正体を知ったとき、直ぐに通報するのではブーイングの嵐確実ですし、
同僚が暴く役を引き受けていたのも正解だったと思います。

それと、「台詞」に二重三重の意味を持たせているところは、流石ですねぇ。
ライフル銃の説明をした上で「弾はあと3発残っていた………」とこの言葉が
重く圧し掛かるのですよ。

それに、北側の工作員が全て男前なのがポイント高め(^^;;
リーダーのパク・ムヨンを初め、本当に男前でして………そうした彼等が銃弾
によって倒れていく姿は、観ていて辛いものがあるんですよ。普通の映画だっ
たらリーダー格だけは何とか一人前の役者を据えて、他はお座なりにするので
すが、そうしたところをしっかりと描き込んでいるから「分断」と言う現実に
説得力が出るのでしょう。

そして……クライマックスのスタジアムのシーンでは、時限爆弾の時間と映画
の中の時間が見事な迄に一致しているのですね。丁度セットされて10分21
秒後に電源を切っております。(^^ゞこの辺の編集は大変だったろうなぁ。
と苦労を偲ぶものであります。

で………弱いなぁと思ったシーンも多数ありまして、10個の爆弾がセットさ
れているのですが、一個目は「予告した上で爆破」ですよね。パトカー等が到
着したときに放送で多数の避難民が出ていた方が自然なのですよ。
相手が本物のテロリストであることが間違い無いのでしたら、情報局から電話
を入れるシーンを一個所入れて、次のシーンでビルから脱出する群集……それ
を押しのけてパトカーが通る位の描写は欲しかったところです。
一度目は気が付きませんでしたが、流石に二度目になりますと愚鈍なぼくでも、
「あれっ?」と思いますもの。

しかしながら、二度目観ても圧倒的に「長所」の方が引き立つ映画でした。
一度目からつらつらと考えていることなのですが、これは北鮮版「226事件」なの
では無いのか?と考えた次第なのです。あのときの青年将校の殆どが東北出身
の農家の倅だった事実が重く圧し掛かってくるんですよ。

成功しても結果的に悪くなるのが現実だと歴史が証明しておりますが、それで
も心情的には彼等も、この映画での北朝鮮第八局も悪く言いたく無いんですね……。
でも、今だから言えることだと頬被りしている自分が一番の偽善者だと思うときでも
あるのですが………。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2000年1月24日 渋谷パンテオンにて鑑賞)

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