(光)『シン・レッド・ライン』(3回目)

この映画、非常にキャラクターの顔が分かり難いと評判ですし、僕もそう思っ
ております……しかし、これには明確な意図があるのです。
その意図の結実として登場してきたキャラクターを御紹介致します。

ダッシュ・ミホック様が御演じになられた、ドール一等兵です。

と……言っても、まず「誰……?」となるでしょう。(笑)
何しろパンフレットにすらその名前が載っていない可哀相なキャラクターです
が……(涙)




(以下、リピーター専用モード)(笑)






しかし、彼の出番は非常に多いのですね。肝心要なところは、原作と違ってい
ても総て彼が出ております。

まず、最初のシーンで、拳銃を盗み出す金髪の青年が出てくるでしょう……。
大概の人は何でこのシーンが????????????と思う筈なのです。

しかしながら、高地攻略の時に、道を切り開いたのは彼なんですね。
「人を殺した……これはレイプよりも悪い」と内省はするのですが、
相棒のビッグ・クイーンに対しては思わず「やったぞ!」と叫んでしまう正直
なキャラです。

で、次にウディ・ハレルソン演じたケック軍曹が、手榴弾を投げ損ねて自爆し
てしまうのですが……(涙)

ウィット君は、「寒い……寒い」と言いながら死んで行くケック軍曹の顔を安
らかに見届けます。

とある方も書いていたのですが、この後に、二人で言い争いになります。

「手紙を書くと約束しただろうが……」とこれは、常に奥様の事を考えている
ベルさん。流石に「女房に男らしく死んだと書いてくれ……」の言葉には弱か
ったのですね。耳元で慰めたりフォローは万全。(笑)
「俺は、こいつの事を知らないんだよ……ああ言う時はこうするしか無いだろ
う……」となじられて可哀相なドールくん。

「だったら、お前が書けよ……(--;)」と言いたいドールくんの気持ちも良く分
かります。

実は、このエピソードなのですが、原作上の二つの出来事を一つにしております。

確かに手榴弾を抜いて死んでしまうのはケック軍曹なのですが、原作では、ベル
さんも確かに登場するのですが、ドールくんは登場しません。
そしてケック軍曹は「ピンを引いてしまうなんて、まるで新兵の芸当だ」とだ
け言って死んでしまうのです。

で……肝心要の「女房に……」のシーンで死んで行くのは、キャッシュ伍長
(映画には登場せず)で、やはり、ベルさんも登場するのですが、ベルさんの
セリフは原作通り、しかし……「分かったよ!書くから」と約束をしたのは
ソーンと言う兵士なのです。

こうして、原作上の無名兵士のエピソードを丹念に集大成したのが、ドールくん
と言う「普通」のキャラクターなのですね。

因みに、スタロス大尉が解任されるシーンで「彼方は僕達のことを考えてくれ
た……」と語るのもドールくん。(原作ではウィット君のキャラ)

しかしながらも、目立たないところに「意図」があるのです……。

他のキャラクターは、人間の在る一面を照射しているのですし、それが故に
非常に分かりやすく、見分けが付くのです。そして見せ場をそれぞれに用意
してあります。

しかしながら名も知れず死んで、そして生き残った「普通の兵士」の為に、
ドールくんと言うキャラクターを代表として用意させたことは流石だと感服
致しました。

本当に彼の考える倫理感は、ごく一般的な人間のものです。それが故に僕的
には非常に重要なウェイトを占めてくるのですが……。
このドールくんの事を紹介して置かないと、次の展開が上手く書けないのです。
m(_ _)m

「大河浪漫を愛する会」 大倉 里司(HCD05016@nifty.ne.jp)

BGM:OST『シン・レッド・ライン』

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