(光)『シン・レッド・ライン』(3回目)

皆様、再び今晩は。大倉です。

「凡人」であるドールくんのことをつらつらと書いてきたのは、これから書く
ことにとって大きなポイントになるからです。

実に、この映画解り難くて、解り易い……それが3度目迄を通して僕の感想です。

何しろ、複数の「真実」が、対立することなく平行に置かれていて、混乱して
居るように見せかけておいて、実は非常に整合性が取れている映画なのですね。

僕も、とある方がおっしゃる様に、この映画からは「生と死」の問題が第一
と感じ取りました。ですが、僕は極めて臆病で、しかも不遜で我侭な人間です
ので、自分にとっての「都合」を遂に見つけ出したのです。

ハッキリと言えば、僕だって、死ぬのが怖いからなんですがね……。

この映画の中には、「相対的なもの」として如実に出ているのが、「神」と言
うか「創造主」への感じ取り方がキャラクター毎に違うのが興味深かったのです。

と……言っても、僕は基督教徒では無いので、非常に捻じ曲がった解釈をする
かもしれませんし、仏教に関しての概念も本当に怪しいものです。ただ……この映画
と接してきて、本当にウィット君は夢に迄出てくるし……\(^○^)/
僕なりに34年間の年月を生きてきた証としてこれを纏めようと思い至りまし
た。m(_ _)m




(今更ながらですが……改行)




1.「神」を信ずるもの……「神」に見捨てられたもの。

最初からまず驚いたのが、C隊長の隊長(エリアス・コーティアス)演じた
スタロス大尉がユダヤ系ではなかった事なのです。
これは、『プライベート・ライアン』を意識してのことか……僕が思うに彼を
ギリシャ系アメリカ人にしたことが興味をそそりました。
やはり、ギリシャと言えば「彫刻」と「哲学」の御本家的なイメージが強く
しかも、基督教文化圏とイスラム教文化圏の境目であるよなぁ……等と考えて
おりました。
スタロス大尉ですが……法律家だけありまして、非常に「理性」を重んじる人
ですし、かなりの教養家でもあります。「神」と言うか「創造主」に対しては、
理性的でありながらもやはり信じている設定です。

彼の肖像画は、エル・グレコにでも頼もうかと密かに考えている位、彫りが深
く、内省的でもあります。

彼は、蝋燭の灯火の前で「神」に祈りを捧げます。
「もし、部下の命を救って下さるのでしたら……喜んで私の命を差し
上げましょう……」と。本当に立派な人です。僕と信じている存在は違えども
尊敬しております。(^^)

それに対して「神を信じながらも神に見捨てられた存在」の人がおります。

12人の部下を戦闘にて死なせてしまったマクローン軍曹(ジョン・サページ)
がそうなのですね。僕は、戦時下においては、彼の行動を余り買っては居ない
のです。と言うのは、原作を読めば判別出来るのですが……。彼が部下を12
人死なせてしまったのは、「戦闘が激しい」のも確かにあるのですが、それ
以上に部下に対して非情に為れなかったと言うことだったのですね。だから、
極めて彼の評判が悪いのは、その為なのです。「善悪」と言う存在は「戦場」
と言う極限状態の中では却って邪魔になると言う悲しい現実を指し示しており
ます。

話題が横道に逸れましたが、彼が気が狂って「兵士は雑草だ……」とか「人間
なんて土くれにしか過ぎない」と他の人の気を滅入らすことしか言って居ない
のは、僕が戦場に行ったらこうなるだろうな……と言う予想と極めて似ている
と感じました。

彼なのですが……あれだけ目立つ行動をしているのに、一向に撃たれない……。

以前、『バタフライ・キス』の感想でも触れましたが、「神」から見捨てられ
た為「罰」を受けない存在として解釈しております。
それは、あたかも宮廷社会における「道化師」の役割でして、彼が語り部とし
てあちこちに顔を出すのはその為なのです。

2. 「神」なり「創造主」を必要としないもの

ウェールズ系アメリカ人である、ウェルシュ曹長(ショーン・ペン)がこのタ
イプです。

彼の存在は「人間」としていかにして生きるかとして中々面白く、また、それ
故に非常に大きな代償を払っております。

「理性」もあるし、それにもましてシニカルですねぇ……そして、相当な部下
思いの存在です。(恥ずかしがり屋の彼は認めないでしょうが)

ただ、これはウィット君と共通のキャラクターなのですが、彼はまた優秀な
兵士であり、C中隊を移ろうと思えば移れる存在なのです。
(この件に関しては後述)

但し、スタロス大尉と似て否なるところは、「神」なり「創造主」を信じて
居ないのです。「無神論のヒューマニスト」が一番彼に相応しい言葉でしょう。
(ただ、僕は尊敬しております)

長くなりました。ウィット君に関しては、この次にて。(本当に長いのです)

「大河浪漫を愛する会」 大倉 里司(HCD05016@nifty.ne.jp)

BGM:OST:『シン・レッド・ライン』

まだ続きがあります

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