(時)『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(3回目の鑑賞)

皆様、お今日は。同じ映画の感想を3回続けて出すのは、
ネタも枯渇してくるのでありますが、気が付いたからには
書かねばならぬと思い筆を執った次第です。

まずその前に読んで頂きたいのが、超兄貴さまによる目か
ら鱗の評論をお読み下さる事を願って止みません。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1079322752&owner_id=3722815
(映画【ベンジャミン・バトン −数奇な人生−】考)


1.犬を連れた老婦人

この映画の中にさり気無く出てきて、極めて重要な役割を
果たしていますのが、ホームに老犬を連れてきてベンジャ
ミンにピアノを教える名無しの老婦人です。彼女に教えて
貰ったピアノの曲がこの映画では重要な役割を果たして参
ります。この曲が最初に使われるのは、皮肉にもその老婦
人が亡くなった時に掛かるのが最初。二回目はモクスワか
ら戻って来たベンジャミンが耳の聞こえない老夫人にピアノ
を弾いていてクイーニーに指摘される場面。三回目はバン
と飛んで、日記帳が発見された時に姿は少年のベンジャミ
ンが弾いている。この時にデイジーはベンジャミンに触れ
よう とするのですが、初期認知症が始まったベンジャミ
ンは、身体を逸らしてしまう。そして、最後の最後にベン
ジャミンの声でナレーションが始まるところ(彼はとうに
死んでしまっているにも係わらず)そこで、「川の辺に座
る人、雷に打たれる人、ピアノを弾く人、船を漕ぐ人、ボ
タンを作る人、シェイクスピアを詠む人、母親になる人……
そして踊る人」と彼が出合った人々の回想シーンが始まる
ので ありますが、その時のBGMがこのピアノ曲なのです。

2.行く人、来る人

この映画では、ベンジャミンは数多くの人と出会い、別れ
ます。その殆どは、先方の都合により出て行ったり、船長
の様に死別したりして、彼の意思とは関係なく別れてしま
うものですが、何にしても例外はありまして、3人だけは
ベンジャミンの意思で離れ、再会する運命なのです。

一人目は、彼を棄てたお父さんでして、ベンジャミンが自
分の息子である事を継げた後、全財産を遺す事を約束する
のですが、ベンジャミンは「我が家に帰るよ」と言って、
一度は別れるのですが、一睡もしなかったであろうベンジ
ャミンは、その夜明けに父親の湖のある別荘に連れていく
のであります。映画には直接描かれていませんが、彼の
死を見取り、葬儀迄出して「ケジメ」をつけたのでしょう。

二人目は、ベンジャミンの育ての母であるクイーニーでし
て、17歳の時に船長と共に世界中を旅する時に別れて
います。

三人目は、言わずと知れたディジーでして、彼女に関して
は説明不要でしょう。同じく17歳の時から別離と出会い
を繰り返しております。

3.大河浪漫を彩るアイコン

殊「大河浪漫」と言うジャンルにおいては、「人」もそう
ですが「物」も重要な役割を果たす事が多々あります。
映画は異なりますが、『さらば、わが愛 覇王別姫』にお
ける「剣」は準主役と言っても良い程効果的に使われて
おります。

今回の大河浪漫であることを象徴するアイコンとしては、
1918年〜2002年迄時を刻み続けた駅の大時計。
そして、フラー夫人が幼いディジーとベンジャミンに読
み聞かせた絵本が、終盤になると年老いたディジーと見
た目は幼児のベンジャミンに読み聞かせる場面がありま
したが、実はこの本、もう一箇所丁度人生の中間地点で
出てくるのであります。ディジーが24歳の時にホーム
を訪問した時に「年齢不詳」の犬が出迎えるのでありま
すが、その際にベンジャミンが懐かしいでしょう?と
言う感じで段ボールの箱から出してくるのが、あの絵本
なのです。

この映画の冒頭の方で、死期が近いディジーが娘に向か
って「遺言書」と言うべきノートを広げるシーンがあり
ますが、彼女が最初に手に取った写真は、ベンジャミン
の両親の結婚写真だったのです。余りにもアッサリと処
理されてしまうので、初見の時には全然気が付きません
でしたが、3度目で気が付きいきなり落涙。

そして、この映画では「言葉の継承」も行なわれている
のです。

船長が世を去る時に「糞ったれ、腸が煮えくりそうだ。
運命の女神を呪いたくなる。だが、お迎えはやってくる」

この独白が再び出てくるのが父を湖の辺にある椅子に座
らせているシーンでして、その直後父とベンジャミンの
顔を交互に映し、白い布にボタンが散りばめられている
描写で父の死を暗示しております。しかもこの墓所が、
最初に出てきた盲目の時計職人のガトーの戦死した息子の
墓と極似しているのです。

「親死子死孫死」とは、戦乱荒れ狂う京の地で、一休宗純
禅師が「御目出度い言葉を頼む」と言われて書き記したと
の記録が残っておりますが、戦争と言う行為はこの順番を
狂わす悪の所業である事を図らずも示したさり気無い挿入
と言えるのではないでしょうか?

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2009年3月14日ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(1回目の感想)

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2回目の感想)日本語吹替版

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