(死)『硫黄島からの手紙』(1回目〜清水編)

皆様、お今晩は。自分がこれから書く内容は映画『硫黄島から
の手紙』の内容にいきなり入り込んだ内容となっております。
未見の方は(序章)だけお読み下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の鑑賞で焦点を当てたのは、試写で観た時に一番感情移入
を覚えた清水と言う元憲兵の役。映画では加瀬亮さまが演じて
おられます。何故自分がそこまで彼に入れ込んだかと言えば、
一番「死にたくない」と言う想いが強烈だったからに他なり
ません。二宮和也さま演じた西郷と言うキャラクター造詣と
似ている部分はあるのですが、西郷の場合、あれだけ地獄巡
りをしているのに「生きて祖国に戻る」と言う確固たる意思
があるんです。対して清水の場合は、西郷程に積極的でない
「生への意思」を感じ、映画が進むにつれてそれが強くなる。
西郷も儲け役だとは思いますが、清水もかなりの美味しい役
どころです。
憲兵隊嫌いを隠そうとしない西郷から清水は疎まれますが、
このところの設定が『父親たちの星条旗』でのアイラ・ヘイ
ズとレイニー・ギャグノンの関係に似ていなくは無い。ただ、
今回二人とも「創作上の人物」なのでその分、動きがダイナ
ミックになっております。

この清水と言う男、実は17歳と言う設定でして学校を出て
憲兵隊と言うエリート・コースを歩みながらも僅か5日間で
退職させられ、地獄の戦場硫黄島に送られたと言う設定。
しかも、彼が飛行機で硫黄島に降り立った時にスコールが降
っていたのも、何かの暗示かも知れません。
映画の中でも描かれておりますが、硫黄島では真水は貴重品
でして、硫黄島の海軍最高責任者であった市丸利之助少将は
得意の和歌に託してこう詠っております。

「スコオルは命の水ぞ雲を待つ島の心を余人は知らじ」

まあ、そんな雨の日にこの島を訪れた彼ですが、憲兵上がり
と言うことで廻りからは警戒されてさぞ辛かったと思います。

そんな彼も次第に西郷との関係が段々と良くなり、西郷と共
に投降する道を選ぶのでありますが……

何とか投降する処まで行ったのですが……彼を待っていたのは
余りに無慈悲な運命で御座いました。

最初に試写でこのシーンを観た時に、まさかこの展開にだけは
しないで欲しいと願っておりましたが、見事に打ち砕かれ……
西郷の好意も結果的に裏目に出て仕舞った。余りにも辛い結末
です。ですが、こう感じるのは戦地に行っておらず、一部始終
を知っている観客の感情でありまして、二人の米兵にとっては
厄介払いの一端にしか過ぎない行為だったのでしょう。

『父親たちの星条旗』でも人間の持つ残酷さを冷徹に描き出し
たイーストウッド監督ですが、自国民にこの描写をさせるとは
凄すぎます。

人が死ぬのを見て何とも感じない映画はあります。そして笑っ
てしまうこともありますが、自分はこの映画では悄然とするし
かありません。そんな事を教えてくれた清水の最期で御座いま
した……。

続いての第2部では、伊原剛志さま演じたバロン西こと西竹一
中佐か、中村獅童さま演じた伊藤中尉のどちらかを書く予定
です。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2006年12月9日ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

 

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